傳田流成功法
第2回 売上高の伸びより利益率を重視せよ / ジー・モードの場合
今回は,携帯電話向けJava対応ゲーム・コンテンツを配信している「株式会社ジー・モード」です。私はジー・モード設立時から同社に出資しており,現在は会長として若い経営陣をサポートしています。私は同社のビジネス・モデルに非常に満足していますが,今後さらに同社が発展するために,(1)新技術の導入,(2)中長期的ビジネス・モデルの確立,(3)事業の海外展開,(4)海外投資家に対する経営者の取り組み---などをアドバイスしています。
ジー・モードの設立は私がインテル在職中だった2000年7月です。やはり米Intel社の投資事業Intel Capitalへ出資を求めてきましたが,すでにIntelは同業の「株式会社サイバード」への出資を決めていました。私は,日本ではIntel Capitalが同業者複数には投資できないと判断し,ジー・モードへは個人的に出資することにしました。
ジー・モードは,NTTドコモがJava対応コンテンツ「iアプリ」配信サービスを開始した2001年1月から売り上げが立ち,2001年7月には単月黒字を達成しました。そして早くも設立約2年後の2002年10月18日からJASDAQ市場に上場しています。携帯電話向けゲーム・コンテンツ事業には大手ゲーム・メーカをはじめ多くが参入していますが,成功しているところは少ないのが現実です。
ジー・モードは,設立時から他社の失敗事例などを研究しながら,利益率(売上高経常利益比)20%を目標に掲げました。そのために,(1)女性や高齢者も知っているコンテンツを提供する,(2)無料会員は募らない,(3)マス・メディアを使った広告はしない,(4)配信システムのためのコンピュータ投資はしない---という事業戦略を立てました。
大手ゲーム・メーカが提供するコンテンツは,いわゆるゲーム業界のお得意さんである25歳以下の男性をターゲットにしています。しかし,携帯電話ユーザはもっと幅広いのです。確実に有料会員を増やすためには特定の携帯電話ユーザだけを狙っていてはダメなのです。そのため,ライセンス料は必要でしたが,誰でも知っているタイトルで操作マニュアルを必要としない「テトリス」や「オセロ」を携帯電話向けに移植しました。会員構成は30歳以上や女性の比率が多いのが特徴で,Javaコンテンツに対応した携帯電話機の登録台数に比例して会員数も増えています。
これらのゲームは,NTTドコモの場合,100円ショップの値ごろ感を出した「Get!!プチアプリ」サイト(月額100円で3本ダウンロード可能)に収録しました。この月額100円のサイトでも利益が出るようにしなければいけません。幸い,NTTドコモのジー・モード・サイト登録会員約67万人のうち,Get!!プチアプリ・サイトの登録会員は約40万人です。Get!!プチアプリは,「ミニゲーム」カテゴリでは最も多くの会員数があることから,メニュー・リストの一番上にリンクがあります。
つまり,広告では会員集めをしていませんが,NTTドコモの公式メニューが広告の役目を果たしているのです。Get!!プチアプリを呼び水として,さらに深いゲームを要求するユーザ向けに「対戦ぐるじゃむ」や「Get!!SPORTS」サイトを月300円で提供しています。
さらにコストを削減するために,ダウンロード・サーバの運営をCSKネットワークシステムズに委託しています。委託費は売上高に依存する形になっており,今後会員数やサイト数が増えハードウエアの更新が必要な場合でもその投資はCSKネットが判断します。従来の実績では売上高に占めるホスティング委託費の割合は約15%に抑えています。また委託費は,コンピュータ技術の進歩に合わせて常に見直しています。
一般にIT業界では,莫大な広告宣伝費をかけユーザを確保したものの,それに伴い設備投資などのコストも増大し結局は赤字に陥る,という傾向があります。ユーザ数が少なくても利益が出る構造をつくることが肝心です。
ジー・モードが予測している2003年3月期通期(2002年4月〜2003年3月)の業績見通しでは,売上高が24億3400万円,経常利益は6億5900万円,利益率は27%を見込んでいます。今後コンテンツ提供事業を海外展開していくことを計画しています。すでに海外でのコンテンツ提供のための仕組みを開発してあるため,そのためのコスト増大を抑えることが可能で,2007年3月期通期では売上高100億円(うち海外での売上高は50億円),経常利益40億円と,利益率を40%にまで上げることが可能であると予測しています。
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