傳田流成功法
第5回 大企業へ売り込むキッカケをつかめ / Canestaの場合
今回は,“Projection Keyboard(光キーボード)”という面白いアイディアを持ったCanesta社の例を紹介します。光キーボードというのは,レーザーで机上に仮想キーボードを表示し,その仮想キーボード上の指の動きを赤外線で検出,認識処理を施してキー入力やマウス操作をするものです。(関連記事http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/leaf/CID/onair/biztech/pc/230062)。
Canestaは独自開発した3次元物体認識技術「Electeonic PerceptionTechnology(電視覚技術)」がコア・コンピタンスであり,その応用製品第一弾として,光キーボード・チップセット「Canesta Keyboard Perception Chipset」を開発しています。
私は米CanestaのBoard of Advisorsのうちの一人として,3カ月ごとに開催するBoard of Advisors会議に出席しています。Canestaの光キーボードを始めて見たとき,その技術には驚き感服しました。そして,この光キーボードを携帯電話機に備えれば,携帯電話機にファッション性を求めるユーザにも応えることができると感じました。
Canestaに対する私の最初の仕事は,日本法人カネスタアジアの立ち上げに寄与したことです。まず,約70人の候補の中から日本法人カネスタアジアの社長として森本 作也氏を選びました。森本氏にはCanesta以外の大企業からの誘いもありましたが,最終選考の段階で森本氏と面接をし,まだIntelがベンチャー企業だった時代の私の仕事のやり方を紹介しました。その甲斐もあって,最終的に森本氏はベンチャー企業に取り組むことに魅力を感じてくれました。
次は,日本の大手システム・メーカに対してトップ・セールスをして顧客を開拓しました。その中の一人に,Intel時代から付き合いが深かったNEC執行役員常務兼NECソリューションズ カンパニー副社長の小林 一彦氏がいます。以前から小林氏の意思決定速度は速いことを知っていましたが,光キーボードに対する反応は迅速でした。光キーボードを紹介してからNECは,1カ月でCanestaの評価用チップを使って光キーボードの試作品を作ってしまったのです。Canestaは評価用チップを使う場合でも開発ライセンスを要求しますが,小林氏は試作品を作るためにライセンス料を払うというリスクを承知のうえで意思決定したのです。
また,Canestaを紹介したタイミングもよかったのです。ちょうどCanestaを紹介したときにNECはキーボードを備えないというコンセプトのTablet PCを開発していました。NECはTablet PCの補助的な外部接続キーボードとして光キーボードを検討しているのです。
このように,ベンチャーであるCanestaの光キーボードを大企業のNECがこれほど迅速に評価したことは珍しい例だと思います。これには私がIntel時代に培った人脈を利用して的確な人である小林氏を紹介したことが役立っています。つまり,私はCanestaのために,Canestaと日本の大企業との橋渡しができることが他のBoard of Advisorsと違う点です。NECに売り込むキッカケをつくりました。
今後,実際にNECが光キーボードを採用するかどうかは,純粋なベンチャーであるCanestaの力,つまり技術力と営業努力に依ります。
■関連記事
米CanestaのWebサイト
■BizTech関連記事
「光キーボードの開発ライセンスを4社が取得---米Canesta副社長」










